感染症予防、体力向上の観点から急速に注目度が高まっているのが「呼吸力」。
必要な空気をしっかり取り込み、吐き出すことができる身体づくりをすることは、健康を維持するために重要です。
その「呼吸力」を上げるためには、横隔膜をしっかり使ってたくさん空気を取り込む「腹式呼吸」を習得するのが近道なのです。
「腹式呼吸」が呼吸力アップにつながるワケ
普段、私たちが何気なくしているのは肺の周りにある肋骨筋(肋骨の間の筋肉)で行う「胸式呼吸」です。
肋骨筋が肺を広げて空気の出し入れを行います。

一方で、歌手が大声で歌う時に行っているのは肺と内臓の間にある横隔膜で行う「腹式呼吸」です。
赤ちゃんが寝ている時に行っている呼吸も「腹式呼吸」。お腹を上下に大きく動かしている姿、見たことありますよね。
横隔膜を大きく上下させ、肺を縦に膨らませてへこます動きをすることで、より多くの空気を出し入れできます。

ちなみに、安静時の呼吸で出し入れする空気量は1回あたりおよそ500~600mLとされています。
オペラ歌手や舞台俳優が腹式呼吸で発声する際に出し入れする空気量は、その約3倍にも上ります(※1)。
腹式呼吸を身に着けることは呼吸力の向上を促しそうですね。
その呼吸力を上げるための腹式呼吸の習得には、「横隔膜」をしっかり動かすことがカギとなります。
※1:日本医師会ホームページ 深呼吸コラムより
呼吸力を上げると、下腹ダイエットにもつながる!
ダイエットの成功のカギは、エネルギーをいかに効率よく消費するか。
実は、体内で消費されるエネルギーのうち、70%が呼吸や体温調節などの生命を維持するための基礎代謝
残りの30%が日常の活動で消費されます。
その中で運動での消費はわずか5%と言われています。
つまり、基礎代謝を上げることが、効果的なダイエットにつながるというワケです。
その基礎代謝に関わる筋肉が、インナーマッスルと呼ばれる体幹深層筋。
横隔膜は、胸部の内側である胸腔と、お腹の内臓などを納めている腹腔の間に位置するインナーマッスルです。
横隔膜は、息を吸うときに縮んで胸腔内の容積を大きくします。その結果、息が吸い込まれます。
横隔膜がゆるむと胸腔の容積は少なくなり、息が吐き出されるという仕組みになっています。
腹式呼吸によって横隔膜が上下すると、腹圧(腹腔内の圧力)が高まります。
腹圧が高まると背筋が伸びて姿勢が良くなるので、下腹がすっきりします。
同時に内臓機能を高めて基礎代謝をアップさせるので、太りにくい身体になるのです。
つまり、しっかりと横隔膜を使った腹式呼吸を行って「呼吸力」を高めることが、下腹やせとダイエットにつながるのです。
<腹式呼吸をマスターしよう>
深い呼吸をするためには、十分に息を吐ききってから吸うことが大切です。
肋骨を広げずに横隔膜をしっかり下げて、お腹を膨らませるようにして鼻から吸います。
その後、口から一気に吐き出します。
一気にたくさんの酸素を取り込めるため、炭酸ガスなどの老廃物も十分に吐ききることができるので、新陳代謝を高めます。
気持ちを落ち着かせ、身体をリラックスさせる効果も期待できます。
さぁ、息を大きく吐いて、深く吸って…。腹式呼吸をマスターしましょう!