何度も繰り返す辛い腰痛。
日本人の約7割は生涯のうち1度は腰痛を経験し、約5割は何度も繰り返す慢性患者といわれています(「腰痛の疫学」より)。
腰痛には姿勢の崩れや内臓の不調、精神的なストレスなど、様々な原因が考えられますが、腰周りの筋肉のコリも大きな要因になりえます。
腰にコリが蓄積し、腰痛を引き起こすメカニズムと、立ち姿勢で作業の合間にできる予防ストレッチをお伝えします。
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コリに悩むのは肩や首だけではない?!怖い腰コリと腰痛
筋肉のコリ、と聞くとすぐ思い浮かべるのは肩と首ではないでしょうか。
ところが、腰も実はコリを溜めやすい部位です。
コリのメカニズムは、筋肉が固定されたまま、大きな負荷がかかることで起こります。
肩や首のコリは、体重の約1/10あると言われる頭を、同じ姿勢で長時間支えることから引き起こされます。
では腰はどうかと言えば、上半身の体重、内臓を支える筋肉が集中している部位です。
しかも肋骨が周囲をカバーしていない分、筋肉で姿勢を支える負荷が高い部位でもあります。

内臓を支える筋肉はお腹まわり、腰まわり、および上の横隔膜と下の骨盤底筋の四方に配置されています。それぞれの筋肉がバランスよく使えていれば、腰まわりの筋肉に大きな負荷がかかることはありません。
ところが、普段から猫背姿勢であったり、同じ姿勢を長時間撮り続けていると、腰周りの筋肉に負荷がかたより、腰コリを引き起こします。
コリ固まった筋肉は、急に動かすと痛めてしまいます。立ち上がった時、座った時、起床時などに起こるいわゆるぎっくり腰は腰コリが原因の1つであると考えられます。
現代の「動かない」ライフスタイルには腰コリのリスクが満載?!
腰痛になりやすい職業は、腰に負担がかかりやすい運送業や介護・看護職というイメージがあるかもしれませんが、腰痛に関するアンケート調査(※1)では、デスクワークを行っている人でも同程度、9割以上が「腰痛になったことがある」と回答しています。

デスクワークは長時間同じ姿勢で作業をするため、ほとんど体を動かすことがありません。
また、パソコン作業を行っていると目線より下の高さにあるモニターを見続けることになるため、自然と猫背姿勢になり、お腹の筋肉がゆるみ、腰に上半身の負荷がかかってしまいます。
太ももが座面に圧迫されて硬くなるのも、腰の筋肉の負荷をさらに高める要因となります。硬くなった太ももの筋肉におしりや腰の筋肉が引っ張られてしまうためです。
運動習慣が少なく、デスクワークが長時間に及ぶ、現代人の「動かない」ライフスタイルには、腰コリから来る腰痛リスクだらけだと言えます。
※1:株式会社ドリーム ラボネッツ実施「腰痛に関するアンケート調査」(2017年回答1,706名)
立ち姿勢でできる腰痛予防ストレッチ
腰コリから来る腰痛に悩む人は、まず合間にこまめに休憩を取り、立ち上がって体を動かすことが大切です。
この時に急に激しい運動をすると、かえって腰を痛めてしまいます。
ゆっくりと立ち上がったら、立ち姿勢でできる腰痛予防ストレッチで、腰コリをやわらげるようにしましょう。
【前かがみで固まった腰コリをほぐす立ち姿勢ストレッチ】
ついつい猫背姿勢になりがちなデスクワークの合間にオススメの腰ストレッチです。
※痛みがひどい時、通院中は医師に相談の上行なってください。
1.椅子から立つときはゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
2.両足を肩幅くらいに開き、手のひらをおしり上部に当てます。
3.おしりから骨盤全体を前にゆっくり押し込むように、上体を反らします。
この時、顎は軽く引いて、ひざを伸ばしたままで行なってください。そのまま20秒ほどキープします。
4.上記3の姿勢からゆっくり直立に戻し、2~3回同じ動作を繰り返します。

腰痛を防ぐ「細かい動き」を生活習慣に
腰コリから来る腰痛の一番の大敵は「動かない」ことです。
作業に夢中になりすぎて、ついつい後回しにしがちですが、作業効率を上げ、健康な体を維持するためにも、こまめにストレッチをしたり、1時間に1度程度は席を立って休憩をはさむようにしましょう。
骨盤を立てる・寝かせる動作(猫背と反り腰を繰り返す)を椅子の上で行なうのもオススメです。腰周りの筋肉を柔らかく保ち、腰以外の姿勢を支える筋肉を刺激して鍛えることにもつながります。
「細かい動き」習慣、是非始めてみてください。